●2020年11月28日(土)
☆今日のワンコ☆ 「朝から何度かオシッコの格好をしますが、出ないようです」と15歳の小型犬が来院しました。「会陰ヘルニア」という病気があります。去勢手術を受けていない雄犬が中高年になると原因は不明ですが、肛門を押さえている筋肉が薄くなって、直腸が蛇行することがあります。この曲がった部位に便が溜まると、排便障害を起こして、ウンチが出難くくて、排便の時に悲鳴をあげます・・、なんてことになります。この子はその病気で、介助して排便させてました。直腸の曲がった部位に便が来ると、肛門の横が膨らんでくるので、排便するときにその部位を手で押さえて、排便させます。 診察すると、肛門の左横が膨らんでいます。エコーで見ると、その膨らんだ部分に液体がたまった袋が見えます。膀胱です。膨らんだ部分を手で圧迫して戻してやると、膀胱は定位置にもどりますが、しばらくしてまた膨らんでくると、膀胱が入っています。 袋の中に膀胱が入り込むと、膀胱が反転するので、尿道が曲がってしまい、オシッコが出せなくなるのです。オシッコが出せないと、急激に容態がわるくなるので、会陰ヘルニアが原因の排尿障害は「緊急疾患」です。 手術で薄くなった肛門の横の筋肉を寄せ集めて、筋肉の壁を作ってあげて、穴を塞いで、手術終了です。この子、以前、右側の会陰ヘルニアを手術したことがあって、その時に去勢手術も同時に行ってますから、今回はヘルニアの手術だけでした。会陰ヘルニアの手術の時は、反対側がならないように去勢手術を同時にします。 これで膀胱は正常位置のもどりましたから、いつもの様にオシッコが出せるようになるでしょう。15歳と高齢ワンコでしたけど、すべて順調に予定通りに終わりました。これで長生きできますね。
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