●2016年01月28日(木)
☆今日のニャンコ☆ 猫の去勢手術がありました。1か月前位から外で食事を与えている猫ですが、最近、抱っこできるまでになったので、去勢手術をしてください。良く食べるのですが、お腹が他の猫と比べてペッチャンコなので、虫がいるかもしれないので、検便もしておいてください、ということでした。 いつものように、鎮静剤→麻酔導入薬→ガス麻酔という順番で猫を眠らせて手術を終えました。ガス麻酔を切ると、猫は徐々に目覚めてきますが、この頃から急に呼吸の様子が変わりました。猫はハーハーと肩で息をし始め、チアノーゼが出て舌の色も悪くなってきました。明らかに呼吸困難の状態です。 危険状態になったので、すぐに気管に管を入れて、人工呼吸に切り替えました。容態が落ち着いたところでレントゲンを撮ると、このニャンコ、横隔膜ヘルニアでした。横隔膜というお腹と胸を分けている膜が、破れていました。生まれつき膜が欠損していたのか、事故にあって破れたのかわかりませんが、胸とお腹の仕切りがないので、呼吸困難になったのです。幸い、不妊手術と違って、お腹は開けてないので、このまま呼吸困難で死亡することはないと思いましたが、目覚めても、呼吸の状態があまり良くなかったので、一晩ICUに入れて様子を見てました。朝には手術前に状態にもどって、食欲もでたので、お家に返しました。 連れてきた方の「お腹がぺっちゃんこ」というのがキーワードでしたね。長毛種だったので、一見変わりなく見えました。当院で、横隔膜ヘルニアに気づかずに避妊や去勢手術で麻酔をかけちゃった猫は、この子を含めて2頭です。当院の手術件数から計算すると、750〜1000頭に1頭の確率ですが、術前にしっかり聴診しないといけませんね。
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