●2011年10月31日(月)
☆今日のニャンコ☆ 「お尻から伸び縮みするゴムの様なものが出てきて、引っ張ったらちょん切れて、残りはまたお尻の中に戻りました!異常に食べる猫ですが、今日は食欲がありません」と生後4ヶ月くらいの子猫が来院しました。 「出てきてちょん切れたのは何ですか?ビニールや紐を食べる癖はありますか?」 「ビニールなどをかじって遊んだりしますが、出てきたのはビニールではなくて見たこともない物です。腸の粘膜の様な?腸がちょん切れて出てきたみたいな??」 「はて、何だろう。下痢がひどいときに大腸がひっくり返ってお尻から出てくることがあるけど、そんな感じじゃないし・・」。 検便をしてビックリ!寄生虫の卵がウジャウジャ見えます。寄生虫の正体は「マンソン裂頭条虫」です。 この寄生虫は長さが1m近くにまで達するものもあり、小腸に寄生しています。この虫がお尻から出てきたのでしょう。虫体は体節という部分がつながって出来ています。これが出てきて引っ張ったらちょん切れたのでしょう。条虫が寄生している猫は、栄養分を虫に横取りされるので、異常に食べることがあります。 お尻や便の表面に小さな虫が付いていることがあります。これは 「瓜実(うりざね)条虫」という寄生虫で「マンソン裂頭条虫」の仲間ですが、大きな違いは寄生虫の大きさです。瓜実条虫はノミが媒介しますが、マンソン裂頭条虫はヘビやカエルが媒介します。猫がヘビやカエルを捕食すると感染します。
ヘビやカエルを食べて生きている猫は少ないので、街中で飼われている猫にこの寄生虫を見ることはほとんどないのですが、以前ツシマヤマネコの保護で猫の健康診断と避妊、去勢手術で対馬に行ったときは、検便でこの寄生虫の虫卵をよく見ました。 今日のニャンコは、山口県の山奥で保護されたそうで、ヘビやカエルを食べて生きていたのでしょう。虫下しの注射で駆除できますが、通常の5倍くらいの量を打つ必要があります。飼い主の方がビックリするはずですね。
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