●2007年11月30日(金)
★今日のワンコ★ 食欲不振の猟犬が来院しました。今週の日曜日まで元気に猟に行ったのですが、週の半ばから食事を食べなくなって、元気もないそうです。 日頃は、野山を駆け回って、ガツガツ食べる犬ですから、何か重大な問題が体の中で起こっている可能性があります。同じ食欲不振でも、食の細い美食家の室内犬とはワケが違います。 エコー検査や血液検査を行います。血液検査の結果を見て驚きました。腎臓の機能を示す数値が急上昇しています。黄疸や脱水も見られます。猟に行っている時は、野山を駆け回っていますから、途中で何かを食べたのかもしれませんが、それにしては、発病が遅い感じがします。中毒などは、食べてから24時間以内に発病しますが、このワンコの具合が悪くなったのは、3〜4日後です。ここで一つの病気の名前が浮かびました。「レプトスピラ病」。 レプトスピラは、野生動物が持っている菌です。野外では120種類を越す動物種から分離されているそうです。この菌が、口や傷口から感染すると、腎臓で増殖して腎炎を起こしますから、急性腎不全によって、容態が極めて悪くなって死亡することも多い、恐ろしい病気です。 当院で扱っている9種混合ワクチンには、レプトスピラが入っていますから、猟犬や山や川で遊ぶレトリバーなどは、9種を接種することをお勧めしています。今日のワンコも一昨年は打ちましたが、ここ1年以内は打っていませんでした。 尿中の細菌培養や、血液中の抗体(免疫)の検査をしないと確定診断は付きませんが、仮にこの病気だとすると、抗生物質の大量投与で菌をやっつけないといけません。ワンコの体力をもたせるために、点滴も必要ですから、入院させて治療することにしました。 幸い、犬の入院室には他に入院中の犬は居ませんでしたから、その点は安心ですが、何時入院が必要な子が来院するか判りません。この病気は、人にもうつりますから、入院中のワンコのお世話にも細心の注意が必要です。しばらくは、緊張した日々が続きそうです。
|