2004年09月
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●2004年09月30日(木)
★今日のニャンコ★

1ヶ月位の子猫です。昨日保護したそうで、今日は健康診断で来院しました。

ノミの寄生もなく、栄養状態も良好で、健康な子猫でした。人懐っこいので、多分何処かで飼われていたのかもしれません。今日からは新しい飼い主の元で、元気で生きていくことでしょうね。

●2004年09月29日(水)

★今日のワンコ★

今年は台風が多い年ですね。今日もお昼前から風雨が強くなって、心配しましたが、幸い、前回ほど強くなかったので、被害はありませんでした。

昨日避妊手術をしたワンコを、午前中にお迎えに来ていただくことにしていましたが、風雨が強くりそうなので、午後に変更していただきました。お迎えは夕方かな?と思っていましたが、風雨が収まったらすぐに飼い主の方がお迎えにみえました。

多分、初めての外泊で、心配していらしたのでしょう。入院中のワンコは朝ごはんをパクパク食べて、大人しくお迎えを待っていました。飼い主の方の顔を見たら、体全体で嬉しがっていました。

ある本で読みましたが、犬は時間の観念がないそうです。15分の別れも、永久の別れも同じで、3年ぶりで会っても、30分で会っても、嬉しさは同じだそうです。ちょっとした外出から帰った時の愛犬の喜びようを見ると、判るような気がしますね。

●2004年09月28日(火)

★今日のワンコ★

「昨日から元気がないんですが・・」と12歳のワンコが来院しました。

屋外で飼っている子ですが、昨日からいつもの元気がなくて、食欲もあまりないそうです。診察すると、歯茎や結膜が真っ白です。貧血しているのが判ります。呼吸も苦しそうです。胸を触ると、心臓がバクバクしているのが判ります。明らかに、大きなトラブルがこのワンコの体の中で起こっていることが、推測されます。

諸検査の結果、フィラリアに感染していることが判りました。フィラリアは心臓に寄生する犬の病気です。虫の長さは10cm以上あります。こんなものが心臓に居るわけで、それが原因で、色々なトラブルを起こします。

今日のワンコは、この虫が心臓の弁に引っかかって、容態が悪くなったと思われます。昔からある病気ですが、フィラリアの予防をしている飼い主の方が多いので、最近では、珍しい病気になっています。

外科的に虫を釣り出す方法がありますが、危険を伴うので、今回は、ワンコの状態があまり悪くはないので、2〜3日お薬で様子を見たいと思います。引っかかった虫が、うまく流れると良いですね。

●2004年09月27日(月)
★今日のワンコ★

生まれつき皮脂腺の分布が多い体質のワンコが居ます。

犬の汗腺は足の裏などに限られていますが、犬の中にはそれが脇の下や内股などにも見られるワンコが居て、その様な子は、運動した後や夏場などには、腺の分泌が増えて体がジットリとしてきます。その部分に細菌や酵母菌が繁殖するので炎症が起きて、とても痒がります。余分な脂分はフケとして落ちますから、この様な体質のワンコの周りには、白いフケが沢山落ちて、飼い主の方を悩ませます。

対策としては、まず毛を短くカットして、適切なシャンプーで週に一回以上洗ってあげるのが一番です。当院の「おばあ」もそんな体質のワンコですが、優しいAHTのお姉さま方が、セッセと洗ってくれるので、当初と比べて皮膚の状態が格段に良くなりました。

写真は入浴中の「おばあ」です。洗っている間は大人しくしています。体を乾かして床に下ろすと、嬉しそうにそこらを走り回ります。気持ち良いんでしょうね。

●2004年09月25日(土)

★今日のワンコ★

小石を飲んだワンコが来院しました。飼い主の方と小石で遊んでいたら、誤って飲み込んでしまったのだそうです。

一応確認のためにレントゲンを撮ると、お腹の中に小石が確認されました。ワンコは小型犬ですから、石の大きさから考えて、ウンチと一緒に出てくることはまず無理でしょう。まだ今は、胃の中にありますから、ワンコに異常は見られませんが、時間が経過して、小腸に移動すると、腸閉塞を起こして、ワンコの容態は急激に悪化します。石が胃の中にある間に何とかしなければなりません。

対策としては、1.嘔吐させる。2.内視鏡で取り出す。3.お腹を切開して取り出す。の3つが考えられます。1の方法は、異物が鋭利な串や棒状のものだと危険ですが、今回は小石ですから、食事と一緒に嘔吐させると大丈夫だと思います。2、3の方法は麻酔が必要ですし、内視鏡のある病院に搬送しなければなりません。お腹を切開すると、ワンコにとってはかなりのダメージになりますし、手術後は、入院や食事管理の必要があります。とりあえず、1の方法を試みることにしました。

嘔吐させる処置をして待つこと10分・・・。ワンコが「ウエッ、ウエッ」と言い出し、すぐに勢い良く朝ごはんが出てきました。早速その中から小石を探します。無い・・

次のゲロリンを探索中に、飼い主の方が「あ!出てきた!」ワンコは飼い主の方の側で、こっそり小石を出していました。よかったぁ〜!一件落着です。

今回は小型犬でしたが、大型犬もボール遊び中にそのボールを飲み込んだり、飼い主の方があわてて口の中に手を入れて取り出そうとしたら、その拍子に犬もあわてて飲み込んでしまう様な事故があります。若いワンコを飼っている皆さん、ご注意くださいね。

●2004年09月24日(金)

★今日のワンコ★

皮膚病の小型犬が来院しました。

皮膚からの脂の分泌量が多い「脂漏症」という体質のワンコです。皮膚から分泌される脂で、毛がゴワゴワに固まっています。その部分に細菌や酵母菌が繁殖するので、ワンコはとても痒がります。かきむしって皮膚を傷つけて、そこにまた細菌が繁殖する悪循環を繰り返します。

細菌の繁殖を抑えるお薬も必要ですが、まず最初に、シャンプーで脂分を落としてから、毛を短く刈るのが一番です。最低週に1回は洗う必要があります。そのお話を飼い主の方にすると、足を洗おうとすると、ワンコが怒るので洗えないそうです。

午後の手術時間になっていましたが、幸い今日は簡単な手術だったので、手術は自分ひとりで行い、スタッフにシャンプーと毛のカットを頼みました。飼い主の方が側で見ていましたが、仰向けにゴロンとひっくり返って毛をカットさせるワンコを見て、「まあ!なんて大人しいのでしょう」と驚いていました。

ワンコは脂分をシャンプーですっかり落としてもらって、毛も短かくなり、すっきりとなりました。体が痒いワンコは、痒みのせいで、不機嫌になって怒りっぽくなることがあります。今日のワンコも、今夜は痒みからも開放されて、グッスリ眠れるでしょうね。

●2004年09月22日(水)

★今日のニャンコ★

先週の金曜日に骨折の手術をした子猫が退院しました。

手術した翌日の早朝から学会のために上京しなければならず、後ろ髪を引かれる思いで出発しましたが、幸い経過も良く、今日無事に退院しました。

事故による骨折だと思いますが、交通事故の場合、頭部や内臓などのダメージは、事故直後には、判らないことがあるので、気を使います。事故翌朝に入院室に入って、動物の容態を診るときは、急変していないかとドキドキします。

今日のニャンコは、事故当日に手術までしましたから、排尿や食欲の状態、出血の有無など、学会会場でスタッフから連絡を受けながら、ドキドキ、ヒヤヒヤしていました。今日、お迎えにみえた飼い主の方の笑顔を見て、正直ホッとしました。よかった、よかった・・。

●2004年09月21日(火)

★今日のニャンコ★

今日は猫の乳腺腫瘍の手術でした。

お腹の辺りに小さなしこりがあるということで、1週間ほど前に来院されましたが、猫の乳腺腫瘍は、悪性のもの(乳がん)が多いので、早めに切除することにしました。

腫瘍の切除手術は、手術するか否かの判断を獣医師に任せられることが多いのです。今回は、このしこりが乳がんかどうかは、現時点では判断できませんが、このまま手術しないでおいて、悪性だった時に、「あの時手術しておけば良かった・・」ということになるといけないので、切除することにしました。

レントゲン検査で、肺などに異常もなく、病変部は小さかったので、比較的短時間で手術を終えました。今日のニャンコは家からは出ないので避妊手術は受けていませんでしたが、生後6ヶ月未満に手術を受けると、乳がんの発病率がかなり下がりますが、2歳以降に手術しても、あまり発病を抑える効果はないと、昨日受講したセミナーで言ってました。

避妊手術は早めに受けた方が良さそうですね。

●2004年09月17日(金)

★今日のニャンコ★

今日は忙しい一日でした。

実は明日から学会で3日間病院を留守にします。幸い入院中の子も居なかったので、安心していたのですが、午前中の1番最後に来院した子が、交通事故で骨折したニャンコでした。

通常は事故の場合、検査で病状を把握したら、1日か2日入院させて、容態に変化がないかを観察します。手術などの、大きな処置は、その後です。動物は、自分の状態を言えないので、受傷直後より、時間が経過してから容態が悪化することがあります。そのため、健康状態を把握した上で、麻酔をかけなければなりません。

明日から留守にすることを飼い主の方に伝えて、出来れば他の病院で治療することをお勧めしましたが、当院での治療を希望されたので、急遽、午後から骨折の手術をしました。

手術は無事に終了して、猫の容態も安定しています。消毒や投薬の処置は、スタッフに伝えていますが、やはり気がかりです。東京での学会も、後ろ髪を引かれながら、参加することになりそうです。

学会のために明日は休診です。1ヶ月ほど前から張り紙でお知らせしていますが、知らずに来院される方が少ないことを願っています。

●2004年09月16日(木)
★今日のワンコ★

ラブラドル・レト・リバーのラッキー君、8歳の男の子です。2年ほどフィラリアの予防薬を飲んでいなかったので、今日は検査で来院しましたが、幸い感染してはいませんでしたから、今月から予防開始です。

大人しい子でした。写真からも「人(犬?)のよさ」が伝わって来ますね。


●2004年09月15日(水)
★今日のワンコ★

診察台の上でコロンと寝てしまったのは、チヨちゃんです。生まれて20日目位かなぁ。指を口元に持っていくと、さかんに吸おうとするので、まだお母さんのおっぱいが恋しいのでしょうね。

チヨちゃんは、北九州市が主催する「わんわん譲渡会」からやってきました。今日は健康診断で来院しました。新しい飼い主の方は、ペット用のミルクと哺乳瓶をお求めになりました。しばらくは、飼い主の方がお母さん代わりですね。

●2004年09月14日(火)
★昨日のニャンコ★

さて、昨日の続きです。

子猫は見たところ顔を腫らして、腰が立たない様子で、かなり悲惨な状況です。それでも、投薬しながら1週間ほど安静にすれば、なんとか回復しそうな気もします。その程度の治療であれば、猫にとってもあまり負担にはなりません。

通常は、この様な場合、責任ある大人の方(例えばご両親など)にもご同行願ってお話をします。回復した猫の処遇に困ることがあるからです。でも今回は高校生ですから、大人として対応しました。

1週間の治療で回復が望めない時は「安楽死」も考えなければならないこと。猫が回復した時は、飼い主を見つける努力をすること。をお約束して、猫を入院させました。

入院当初は食欲がなかった猫も、3日目から食べられるようになり、萎えていた腰も少しずつ持ち上がり、ヨロヨロと自力で歩けるようになってきました。連れて来た高校生からは、その後連絡がなかったので、心配していましたが、昨日、「飼い主が2人も見つかりました!」って、面会に来てくれました。

今週末には、子猫は新しい飼い主の所に行けそうです。心優しい高校生のおかげで、爽やかな気持ちになれました。

写真は、その子猫です。とても人懐っこい子ですよ。子猫にとっては、「災い転じて福となす」ですね。

●2004年09月13日(月)

★今日のニャンコ★

先週の半ばに、二人連れの高校生の女の子が子猫を連れてきました。前日の夜事故にあって怪我をした子猫を見つけて、あっちこっち病院を探したのですが、どこも開いてなくて、誰か心ある人に見つけてもらえればと、寒くないようにダンボールにタオルを入れて、発見した場所に置いておきました。

次の日の早朝見に行くと、子猫はその場所から少し離れたところにうずくまっていたので、当院に連れて来たそうです。早朝から、何度も当院の電話に着信が入っていたので、気になっていましたが、彼女達でした。

子猫は顎を怪我して顔が腫れています。後ろ足もうまく使えない様子です。とりあえずレントゲンを撮りましたが、大きな骨折や脱臼はなさそうですが、頭部を強打した様でした。

飼い猫でしたらすぐに治療を始めますが、いわゆる「野良猫」です。猫にとっては、苦しくてつらい治療をしても、障害が残る可能性もあります。その状態で、また元の場所に戻しても、自力では生きていけません。ハンディを背負って空腹のまま衰弱していくのも、かわいそうです。さて、どうしたものか・・。

つづく・・

●2004年09月11日(土)

★今日のニャンコ★

「この猫に家族がかじられて、猫ひっかき病になったので、診てください」と、大きなオスの猫が来院しました。

「猫ひっかき病」というのは、猫から噛まれたり、引っかかれたりして、数日〜2週間ほどの潜伏期のあと、受傷した部位が化膿てリンパ節が腫れたり、発熱したり、ひどい時は脳炎を併発することもある、病気です。

今日の飼い主の方も、リンパ腺が大きく腫れたので、白血病や肉腫などの悪い病気ではないかと心配になって、受診したところ「猫ひっかき病」と言われたそうです。この方は入院して治療を受けたそうで、かなり病状が重かったのでしょう。

この病気は、猫の口の中や爪に潜むバルトネラ菌によって引き起こされます。20%位の猫がこの菌を保有しています。引っかかれて人がすべてこの病気になるわけではありませんが、体力が落ちているお年寄りなどは、発病しやすいようです。

猫に対する治療は特になく、爪を切っておくこと位しかありません。引っかかれたり、咬まれたりしないことが、一番の予防策です。実は私も入院中の猫からガブリとやられて、この病気になったことがあります。咬まれた腕は、まるで「赤ちゃんの腕」みたいに、パンパンに腫れて発熱して、大変でした。皆さんも、野良猫などには、うかつに手を出さない方が良いかもしれませんね。

●2004年09月10日(金)

★今日のワンコ★

今日は2歳のオスのワンコの去勢手術でした。

この子は臍ヘルニア(いわゆるデベソ)もあったので、同時に手術しました。赤ちゃんを出産すると、母犬がへその緒を噛み切って、胎児と胎盤を切り離しますが、あまりにも胎児のお腹に近い所で切れると、お腹に小さな穴が開いて、そこからお腹の中の脂肪などが、皮下に出てきます。これが「臍ヘルニア」です。

穴が大きくてお腹の中の臓器が出ている場合は、早めに手術しますが、穴が小さい時は、去勢や避妊手術の時に同時に行います。穴を探して縫合する、比較的簡単な手術です。

今日は、週の始めに台風が来たため来院できなかったのか、病院が大変込み合いました。タイミングが悪いと1時間近くお待たせした方もいらして、申し訳ありませんでした。午前9時と午後4時の診療開始直後は、混みあいますから、それから1時間程してから、来院された方が良い様です。よろしくお願いします。

●2004年09月09日(木)
★今日のワンコ★

今日は珍しいワンコが来院しました。サルーキーの桂ちゃんです。5ヶ月目の女の子です。当院では、初めての犬種です。

サルーキーの原産地は中東で、イスラム原理主義者にとって、犬は不浄のものとされていましたが、サルーキーだけは特別に神から許されて、信者の家で一緒に暮らすことが出来たと、犬の本に書いてありました。遊牧民のベドゥイン族には、猟犬として使えたそうです。

手と足と尻尾がとても長くて、スマートなワンコでした。室内で生活していますが、思わず「尻尾をドアで挟まないように、気をつけて下さいね」と、声をかけてしまいました。でも、本当に長いでしょう。

●2004年09月08日(水)
★今日のワンコ★

今日は、台風一過で爽やかなお天気でした。各地で大きな被害が出たようですが、皆様のお宅や職場は大丈夫でしたか?当院は、表の看板のプラスチック製の板が、風で少し凹んだようですが、幸い大きな被害はありませんでした。

写真は、ゴーギーのアズちゃんと、その兄弟です。5匹生まれましたが、お母さんのところに残るのは、アズちゃんだけで、もう1匹の子も行く先が決まっているそうです。子犬とお別れするときは、つらかったでしょうね。

●2004年09月07日(火)
★台風到来★

2週続けての台風到来でした。災害の少ない北九州市では、珍しいことですね。

今回も前回と同様に、屋上の猫達とその小屋を屋内に避難させて、外犬のコテツは、前回、避難させた車庫に置いてあるバイクにオシッコを引っ掛けたので、今回は避難させずに、屋外で風雨に耐えてもらいました。時々のぞいて見ましたが、壁際をアッチコッチ移動しながら、爆風を避けていたようです。少々雨に濡れて、情けない顔をしていました。

さすがに午前中に来院された方はなく、午後に去勢手術が予定されていましたが、術中の停電が心配だったので、先に延ばすことにしました。午後からは風雨も一段落し、自宅待機中の看護師もやってきて、患者さんも数名来院されました。

台風や大雨の時、人は屋根から落っこちたり、飛んできた瓦で怪我したりしますが、動物達の怪我は少ないんですよ。きっと災いが去るまで、物陰でジッと身を潜めているのでしょうね。

写真は、「外の嵐なんてどこ吹く風」のオバアです。今日は1日つき合いましたが、食事とトイレ以外は、ずっと寝ていました。それも爆睡!幸せですね。

●2004年09月06日(月)

★昨日の講演会★

昨日の日曜日は、所属する研究会の発表会で、久留米市まで行ってきました。10月に開催される九州地区獣医学会の予演会(予行練習会)です。数十名の獣医師が九州各地から集まり、発表された演題に対して、活発な討議がなされ、終了予定時刻を大幅にオーバーしてしまいました。

発表された演題の過半数が腫瘍(いわゆる癌)の治療に関するもので、残りも心臓疾患や脊髄疾患などでした。ワクチンやフィラリアの予防など、感染症の予防医学が進んで、動物達が長生きになりました。それに伴って癌や成人病(成犬病?)が増えて来ました。

1時期人気犬種だったレトリバー達も、10歳を超える子が出てきました。大型犬は小型犬より年を取るのが早いので、これからは、大型犬の看護の問題が出てくるかもしれませんね。

●2004年09月04日(土)

★今日のワンコ★

乳腺が大きく腫れた10歳の小型犬が来院しました。以前、乳腺腫瘍の手術をした子ですが、今度は反対側の乳腺が、まるで授乳中の乳房の様に腫れています。とても切除できる様な大きさではありません。あまりにも大きいので、乳腺炎かもしれないということで、抗生物質のお薬を処方して、様子をみていました。

2週間後に来院された時には、腫れは引かず胸のあたりがただれた様になって、赤くなっています。「炎症性乳がん」という、最も悪性の乳がんが疑われます。レントゲンの検査で、肺のいたるところに腫瘍が転移していることがわかりました。もはや手の打ちようがありません。

それでも、命のあるうちは、ワンコが苦しまないようにできるだけのことはしてあげたいという、飼い主の方のご希望でしたので、炎症を抑えるお薬を処方しました。ワンコはそれから2週間後に呼吸不全で亡くなりました。

この仕事をしていると、最愛のペットに先立たれた飼い主の方方の、悲しみや寂しさを、いつも身近に感じています。海の向こうのロシアでは、テロにより多くの子供の命が失われました。人口が4万人程度の地方都市で起きた事件ということで、町全体が悲しみに暮れているのでしょう。本当に、心が痛みます。憎しみが憎しみを呼ぶ構図は、いつになったら、なくなるのでしょうね。


●2004年09月03日(金)

★今日のワンコ★

昨日の続きです。

開業してまだ間がない頃に、体をひどく痒がる大型犬が来院しました。病変部を何箇所調べてもカイセンが見つからないので、シャンプー療法と、痒み止めの内服薬を処方しましたが、症状は好転しません。

業を煮やした飼い主の方が、大学病院に犬を連れて行ったところ、カイセンが見つかり、大学でその治療をして、完治しました。このお話を、後日飼い主の方からお伺いして、とても申し訳なく思ったことがあります。

今回来院したワンコには、「診断的治療」ということで、カイセンを駆除する注射を打つことにしました。週に1回打ちますが、仮にカイセンが原因の皮膚病だとすると、2回目位から効果が現れてきます。

さて、治療結果ですが、かなり症状は好転しました。途中で、痒み止めのお薬も処方しましたが、4回目の注射が終る頃には、ほとんど投薬の必要もなくなりました。

この「診断的治療」を行う場合、ひょっとしたら全然違う治療をしていることもあるので、飼い主の方のご理解と同意が必要です。今回は、ワンコが昼夜を問わず痒がるので、とてもお困りの様子でしたから、同意を得ることができました。治療がうまくいって、このまま平穏無事な日々が続くと良いですね。

●2004年09月02日(木)

★今日のワンコ★

体をとても痒がるという中型犬が来院しました。この子はお家の中で生活しています。他院で治療を受けていて、お薬を飲ませている間は、小康状態を保ちますが、投薬を中止すると、また痒がるそうです。診察室でもガリガリと後ろ足で、体をあっちこっち掻いています。そのため、毛が抜けて肌も所々傷ついています。

ある皮膚病の講習会で、「体をひどく痒がる時は、カイセンを疑え」という話を聴いたことがありました。カイセンは皮膚の下にトンネルを作って生活しているダニです。病変部の皮膚を引っかいて顕微鏡で見ると、ダニが見つかることがあります。

今日のワンコも皮膚を何箇所か掻きとって顕微鏡で見ましたが、カイセンは見つかりません。他院でも同じような検査をしましたが、結果は陰性だったそうです。さて、どうしたものか??

つづく・・

●2004年09月01日(水)
★今日のワンコ★

今日から9月です。やっと涼しくなりそうですね。今年は、高温多湿な時期が長かったせいか、例年に比べて、皮膚病で来院するワンコが多かったような気がします。秋の到来とともに、ワンコ達も「痒み」から開放されますね。

写真は、シュナウザーの恵(ケイ)ちゃんです。3ヶ月目の女の子です。若いけどおじいさんの様な顔が魅力的ですね。


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