2002年07月
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●2002年07月31日(水)

★今日のワンコ★

今日は小型犬の抜歯です.右頬の上がよく化膿するワンコで,抗生物質で治療すると治まるのですが,しばらくするとまた化膿してきます.歯石がかなり付着して,歯周炎も起こしているので,きっと奥歯の根っこが炎症を起こして化膿するので,右の頬が腫れて来るんでしょう.

全身麻酔をかけて付着した歯石を取り除きます.歯の間には毛や食べ物のカスがは挟まって,歯茎が炎症を起こしています.グラグラしている歯は思い切ってどんどん抜きます.問題の右の上アゴの奥歯も頑張って抜きました.

前から気になっていた背中のイボイボも麻酔で眠っている隙に(?)電気メスで切除して,約1時間で処置を終えました.今までは痛かったのか,飼い主の方に口の中を触らせないワンコでしたが,これからは痛みが取れて,残った歯のお手入れが出来る様になると良いですね.

●2002年07月30日(火)

★今日のニャンコ★

2ヶ月令位のニャンコが来院しました.外で食事だけもらっていたニャンコだそうで,土曜日に交通事故にあって出血も多かったので「もうだめだろうなぁ」て思いながら保護していたら,昨夜から少し食べられる様になったので,とりあえず病院にやってきました.

検査をすると,太ももの骨が骨折しているのと,お腹の筋肉が傷ついて腸が皮膚の下に飛び出していることが判りました.手術が必要です.連れてきた方は諸般の事情からこのニャンコを飼うことは出来ません.かといってこのまま元の所にもどしても,怪我をしているので普通に生きて行くことは難しいでしょう.このまま野良猫として保健所に連れて行くか,治療するか,どちらかを選択しなければなりません.

相談の結果,当院で預かって体力を回復させてから,手術することになりました.体が良くなったら再び元の所に戻って食事だけもらう生活に戻るか,里親を見つけるかはまだ判りませんが,事の成り行きを何も知らないニャンコは当院の入院室でのんびりと,体の回復を待っています.

●2002年07月29日(月)
★今日のワンコ★

今日は小さなワンコ(チワワ)の去勢手術です.お家に雌のワンコが来たので,雌が発情する前に雄を去勢することにしました.少し可愛そうな気がしますが,将来のことを考えると,早い時期に手術をしておくのが望ましいでしょう.先週末に手術した大型犬がまだ入院中なので,今日も入院室には「デカ&チビ」コンビが仲良く休んでいます.

写真はビーグル犬のメイちゃんです.2ヶ月の女の子です.生まれたのが5月(May)なのでメイちゃんと名づけられました.きっと元気なワンコに育つでしょうね.

●2002年07月27日(土)
★今日のワンコ★

今日は大きなワンコと小さなワンコの手術が重なりました.大きなワンコは30kg近い大型犬で,小さなワンコはたった1.5kgの小型犬です.2頭が並ぶと,小型犬は大型犬の肘から下とほぼ同じ大きさです.大型犬を「エイ,ヤァ!」と手術して,小型犬を「チマチマ」と手術しました.今は仲良く入院室の上段と下段で休んでいます.小型犬は今日の夕方,大型犬は来週退院予定です.

写真はシーズー犬のユキちゃんとダイスケ君です.5月15日生まれの兄弟です.お母さん犬といっしょに,初めてのワクチン接種と健康診断で来院しました.飼い主の方が「こっちョ〜」て呼びかけた時にパチリと撮りました。かわいくて、見ているだけで思わず頬がゆるんできますね.

●2002年07月26日(金)

★今日のワンコ★

今日は腫瘍の摘出手術がありました.昨年の12月に一度手術をして,腫瘍を切除したのですが,再発してしまいました.初回の手術後の検査結果で腫瘍は悪性でした.このため,再発や転移の可能性が高いので定期的に来院していただいてましたが,再発した腫瘍は瞬く間に大きくなってきました.

手術後に再発した腫瘍は,周囲の健康な組織に広がるので,摘出が困難なことが多いのですが,飼い主の方のご希望もあり,もう一度手術にチャレンジすることにしました.

皮膚を切開すると思いのほか腫瘍は広範囲に広がっていて,一部は胸の筋肉の中にまで及んでます.無理に手術をすると,今は元気に過ごせているワンコの生活の質を落とす可能性があります.切除出来たとしても3〜4ヵ月後には再発するでしょう.飼い主の方と連絡をとり,切除手術は中止することにしました.

処置は短時間で終わってますから,何事も無かったかの様に麻酔から覚めたワンコを見て「もう少し頑張って,少し無理してでも切除した方が良かったかな」という考えも頭を過ぎりましたが,この判断が正しかったかどうかの結論が出るのは,2〜3ヶ月先になるでしょう.

動物達の治療は人間以上に,「日常生活が自力でできるようにする事」が重要な気がします.


●2002年07月25日(木)

★今日のワンコ★

高齢犬の夜鳴きや徘徊の相談を受けることがあります.夜中にギャンギャン鳴き出す.飼い主が判断出来なくなって,同じ所をいつもグルグル回っているなど,いわゆる「ボケ」の症状です.お庭で飼っているワンコは,ご近所の迷惑になるので飼い主の方も困ってしまいます.犬種別では,柴犬や日本犬系の雑種が多いようです.

発病した犬の血中のエイコザベンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)の濃度を測定すると,健康な犬に比べて低いことが判りました.このため,最近,EPAとDHAを強化したドッグフードが発売されています.このフードを与えることで,高齢犬の「ボケ」防止と発病の進行を抑える効果があるそうです.

EPAやDHAは魚類に多く含まれる不飽和脂肪酸です.一説によると,日本の犬は昔からずっと魚中心の食事が与えられていたため,体の中で不飽和脂肪酸を作り出す機能が外来種の犬より劣っていて,それが最近,ドッグフードの普及により肉中心の食事になったので,外来種の犬と比べて「ボケ」を発病する日本犬が多いのだそうです.

「きんさん,ぎんさん」が100歳を越えてもしっかりしていたのは,お魚中心の食生活が良かったのだそうですが,日本のワンコもそうなのかな?

●2002年07月24日(水)
★今日のワンコ★

今日のワンコはピレニアン・マウンテンドック(ピレネー犬)のキサラ君,6歳の男の子です.大きいでしょう!.体重は普通のレトリバーとあまり変わらないのですが,お顔が大きくて被毛が多いので,とても巨大に見えます.原産地はフランスだそうですが,20世紀初期に発見されるまでは,アンゴラに生息していたそうです.

体は大きいけど,おとなしくて優しいワンコです.最近暑いので,少々夏バテ気味です.7月22日にご紹介したチワワのマリリンちゃんの40倍の大きさです.同族でこれほど大きさの違う動物は犬種だけですね.

●2002年07月23日(火)
★今日のワンコ★

ケアン・テリアのミニョン君です.2歳の男の子です.ヨークシャー・テリアとかウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア(ウエスティ)は時々見かけますが,ケアン・テリアは当院で初めてでした.黒っぽいウエスティって感じですが,被毛は硬くてゴワゴワしています.テリア種でも古いタイプで,初期はキツネ狩りに使われていたそうです.

ケアン・テリアの原産地はスコットランドだそうですが,ミニョン君は飼い主の方といっしょに,フランスからやって来ました.日本語で「おすわり!」て言われてましたから,「帰国子女」ってとこかな?小さく丈夫な体と,扱いやすい性質のため,ケアン・テリアは楽しいコンパニオンになります,と犬の本に書いてありました.

●2002年07月22日(月)
★今日のワンコ★

今日はチワワのマリリンちゃん,5月3日生まれの女の子です.体重はたった900gしかありません.ワクチン接種と健康診断で来院しました.後2週間ほどで3ヶ月令になりますが,まだあまりたくさん食べられないので,離乳食とミルクをもらってます.小さくてカワイイですね.

●2002年07月19日(金)

★今日のワンコ★

12歳の雄のワンコが来院しました.「最近,オシッコがポタポタ漏れるんですが..」と困ってます.待っている間も,ポタリ,ポタリを漏れています.中型のワンコですが室内で飼われているので,お世話が大変だと思います.

お話をお伺いして検査を進めていきます.エコー検査で前立腺が肥大して,前立腺の中に小さな袋状の「のう胞」が出来ている様です.前立腺の中には尿道が入っていますから,前立腺が肥大するとオシッコの出が悪くなったり,逆にポタポタと漏れることがあります.前立腺肥大は男性ホルモンが影響していることが判ってますから,去勢手術が効果がありますが,このワンコは飼い主の方の希望もあり,お薬で治療することにしました.

若い雄のワンコの去勢手術はあまり気になりませんが,お年寄りのワンコの去勢手術は,なんとなくワンコが気の毒になるのは,やはり自分が男性だからかな?お薬が効くといいですね.

●2002年07月18日(木)

★今日のニャンコ★

1週間前に後ろ足が不自由な子猫が来院しました.昨日,道端で保護したそうで,まだ名前も付いていません.レントゲンを撮ってみると左足の大腿骨(足の一番上の骨)が斜めに折れています.いわゆる「若木骨折」というタイプの骨折で,若い竹を捻った様な骨折です.

折れた骨の端っこがあまり大きくずれてないので,1週間おうちで箱の中に入れて,安静させて様子を見ることにしました.1週間後にまだあまり調子が良くなかったり,骨折の状態が悪化している様だったら,手術することにしました.

で,今日がその1週間目だったのですが,子猫はまだ足を少し引きずっていますが,1週間前より随分調子が良さそうです.骨折部位を手で触ってみると,骨が出来てきている様です.レントゲンでも悪化は認められないので,このまま安静にさせて治療することにしました.

以前も大人の猫でしたが,粉砕骨折が安静にしているだけで,日常生活に支障ない程度に,無事に治癒したことがあります.猫は犬に比べて野性味が強いと言いますが,動物の自然の治癒力には驚かされますね.

●2002年07月17日(水)
★今日のワンコ★

今日のワンコは,ファミちゃんとビビちゃん,3ヶ月目の女の子です.今日は2回目のワクチンで来院しました.姉妹ですが,ファミちゃんは6.8kg,ビビちゃんは5.4kgでファミちゃんは手足も長いので,2頭が並ぶとファミちゃんが一回り大きく見えます.

性格も,活発なのがファミちゃんでおとなしいのがビビちゃんだそうです.いつも一緒に仲良く遊んでいます.

●2002年07月16日(火)

★今日のワンコ★

お昼に出産が始まったワンコが,「4頭は無事に生まれたんですが,その後息んでいるのですけど生まれませーん」と午後の診療が始まる少し前に来院しました.

超音波検査で胎児を調べて,心臓がしっかり打っているのが確認できました.レントゲンで頭数を確認すると1匹だけ残っています.母体の状態も良くて,胎児の大きさから判断して,このままでも無事に生まれそうです.母犬が少し高齢(確か6〜7歳だったかな?人に換算すると30代後半から40代半ば)なので休息が必要なのでしょう.大型犬で10頭近く出産する時など,途中で食事を食べたり眠ったりしながら,1日かけて出産することもあります.

一応,陣痛促進剤を投与して,多分,今夜中には生まれると思いますが,明朝まで生まれなかったら連れてきていただくことにしました.午後の診療が混みあっていたので,少し待っていただいてたのですが,そうこうしている内に「センセーェ,後ろ足が出てきましたぁ〜」と診察室に飼い主の方が飛び込んで来ました.

確かに,後ろ足がニューて出てきています.ワンコの陣痛にあわせて介助すると,すぐにスポンて生まれました.促進剤がすぐに効いたみたいで,母犬も「アレッ,何が起きたの??」とびっくりした様な顔をしていました.

ワンコと飼い主の方は,待合室で待っている方達から「おめでとうございます」とさかんに祝福されながら,誇らしげに帰って行きました.めでたし,めでたし...

●2002年07月15日(月)
★今日のワンコ★

今日のワンコはチワワのレオ君,4歳の男の子です.今日はノミが付いたので来院しました.すぐに外に出て行ってしまうそうで,外で誰かにノミを移されたのでしょう.一見すると「箱入り息子」の様に見えますが,きっと活発なワンチャンなんでしょうね.ノミ取りのお薬をつけてもらって帰りました.これで1ヶ月間は大丈夫でしょう.

●2002年07月13日(土)
★今日のワンコ★

今日はポメラニアンのソラちゃん,3ヶ月の女の子です.体重はわずか1kgです.ポメラニアンでも小柄な方ですね.体は小さいけど食欲は旺盛で元気一杯だそうです.

●2002年07月12日(金)

★今日のニャンコ★

今日は野良猫の避妊手術です.「食事だけ食べに来ている猫を,やっと捕まえましたぁ」とカゴに入れられたニャンコが来院しました.カゴの中ではニャンコが「ちくしょう,捕まっちまった!隙があれば逃げてやるぞ」と目をランランとさせて,睨んでいます.

病院で使っているカゴだと全体が金網ですから,カゴの外から麻酔の注射が打てますが,今日のニャンコが入っているのは,入り口だけが網状で,3方を壁が取り囲んでいるタイプで,麻酔の注射を打つには入り口のドアを開けて打つか,当院のカゴに移し変えるしかありません.入り口のドアを開けて中に手を入れると逃がしてしまいそうなので,当院のカゴに移し変えることにしました.

逃がさないように注意しながら,ニャンコが入っているカゴと当院で使っているカゴの扉を開けて,入り口と入り口をぴったり合わせて逆さまにして,ニャンコを当院のカゴの中に落とそうとするのですが,ニャンコはしがみついてなかなか落っこちてくれません.やっと落っこちたと思ったら,ピョンと飛び上がってまた元のカゴにもどってしまいます.

カゴを叩いたり揺すったりして,なんとかニャンコを当院のカゴに移し変えました.ニャンコの注意を逸らしながら麻酔の注射を「一瞬の早業」で打ち,眠ったニャンコに注意しながら(時々気合が入っているのか,復活するやつがいるんですよ)マスクをかけて麻酔ガスを吸わせて,無事に手術を終えることが出来ました.

一日入院して,明日は元の場所に放されますが,「ああ,えらい目にあった」と一目散に逃げて行くことでしょうね.

●2002年07月11日(木)

★今日のワンコ★

腕に大きな腫瘍ができたワンコが亡くなりました.腫瘍は2年位前から気付いてはいましたが,深く広がっていて,摘出がうまくいかなければ,前足の切断まで考えての手術になるので,ワンコの「生活の質」を考えて,飼い主の方と相談の上で様子を見ていました.

腫瘍はだんだん大きくなってきて,とうとう表面が破れて出血が始まりました.もう,残された方法は前足の切断しかありません.手術に躊躇されていた飼い主の方も同意されましたので,手術の予定を入れました.ところが,手術前の血液検査で腎臓がかなり悪くなっていて,麻酔に耐えられそうにないので,点滴治療をして腎機能が改善したら手術することにしました.

ワンコの容態があまり良くないので,診療時間内に点滴をして,夜は自宅に帰ってご家族と一緒に過ごしていただいていたのですが,2日目の朝にご家族に見守られて息を引き取りました.

ワンコが入院中は,おじいちゃんからお孫さんまで三々五々面会にお見えになって,この子が家族の一員として,とても可愛がられていたことが伺えました.個人主義と核家族化が進む中で,家族の中でペットが果たす役割と,彼らの健康を預かっている責任の大きさを痛感しました.


●2002年07月10日(水)

★今日のニャンコ★

今日は近くのショップから,ニャンコの麻酔の依頼がありました.気性が激しくてトリミングの出来ないニャンコに麻酔をかけることがあります.

手術中の麻酔は各種のモニターを付けて保温しながらの処置になりますし,呼吸停止などの緊急時には,すぐに対応できるようにしていますが,トリミングのための麻酔は猫にとっては危険が伴います.注射による麻酔処置をしてそのままショップに連れて帰って,シャンプー&カットをするわけですから,飼い主の方には充分に説明をして,異常があればすぐに病院に運んでいただくようにしています.

このようなニャンコは,気性が激しいのでブラッシングなどをさせない→毛玉ができて猫も不快である→イライラして気性が激しくなる.の悪循環の様な気がします.小さい頃からブラシングの習慣をつけておくことが大切かもしれませんね.

気性の激しい猫は麻酔の効きも悪くて,普通だったらコテッと眠る量を投与しても,ケロッとしてます.気の強さは生まれつきの性格かな?

●2002年07月09日(火)

★今日のワンコ★

今日は雄のワンコのお尻にできた小さな腫瘍の切除手術です.去勢手術をしていない雄犬は,中年になると肛門の周囲に腫瘍ができることがあります(肛門周囲腺腫,悪性のものは肛門周囲腺癌).放っておくとだんだん大きくなりますから,早めに切除するのが一番です.

このワンコ,年配のご夫婦が飼っていますが,車に乗せるとバタバタと暴れるので,お二人で連れて来なければなりません.手術の予約を入れていただくのですが,なかなかお二人の都合が合いません.終いには「お前は何時も自分の都合ばかり言って!!」と何やら険悪なムードになってきました.

そこで当院からワンコが入る位の大きなゲージをお貸しすることにしました,その中にワンコを入れてくれば,ご主人お一人でも連れて来れるので問題解決です.

でも今日の手術にはお二人そろってお見えになってました.きっと本当は仲の良いご夫婦なのでしょうね.簡単な処置だったので,夕方にはワンコは大きなゲージに入れられて,お迎えにみえたお二人といっしょに帰って行きました.

●2002年07月08日(月)

★今日のワンコ★

お腹をこわしたワンコが来院しました.「便が少しゆるい」程度の下痢で,ワンコの元気や食欲には特に問題ありません.検便をしても異常ありません.こんな時は食事が原因(食べ過ぎ,食べ慣れないものを与えたとか・・.)のことが多いので食事の内容をお伺いすると「ドッグフードしか与えてません」と飼い主の方,その時,いっしょに来ていた5〜6歳の子供さんが「昨日パパがお芋とかメロンとかあげてたよ..」

先日も「少し便がゆるい」と来院した30kgの2歳のレトリバー,食事の内容をお伺いすると,「お腹にやさしいからと勧められたので,ドライフードをお水に漬けてふやかしてずっと与えてます」

別に悪くはないと思いますが,ベビーフードを大人が食べてる様なもので,りっぱな歯をしたレトリバーが少し気の毒になりました.

ワンコの便が少し柔らかいときは,ドライタイプのドッグフードを少なめに与えると調子良くなることがあります.それでもダメな時は治療する必要がありますね.


●2002年07月06日(土)

★最近の獣医学会★

今日と明日の2日間,福岡県獣医師会主催の「九州地区小動物医学会卒後研修会」が開催されています.我々開業獣医師の研修会です.

教育プログラムを見ると,癌などの腫瘍に対する抗がん剤を使った治療,超音波,CT,MRIなどの高度医療器械を使った病気の診断法などの講習が目白押しです.

一昔前までは,動物病院にあるのはレントゲンだけでしたから,最近の検査設備の充実ぶりには目を見張るのもがあります.CTやMRIなどの高価な検査器具も以前は大学病院にしかありませんでしたが,最近は個人の病院にも設置しているところがあります.

「医は仁術なり」という言葉がありますが,我々の仕事も共通した部分があると思います.高度な医療技術や検査が出来るようになっても,「この子が自分の愛犬だったらどうするのが一番良いかな?」てところが治療の原点になるような気がします.

さて,明日はお勉強しなくっちゃ・・.

●2002年07月05日(金)

★今日のニャンコ★

疥癬(カイセン)という犬や猫の皮膚病があります.皮膚の中にトンネルを作って生活するダニが寄生して起こる病気で,この病気にかかると動物はとても痒がります.治療すると治りますが,治療を受けられないタヌキなどの野生動物は,この病気で死亡することもあります.

このダニは皮膚の中で生活するので人の目につくことはありません.卵や成虫がフケなどと一緒に地面に落下して,次に寄生する動物が来ると感染します.複数の猫を飼っている方が子猫を拾ってきてお家に入れたところ,子猫が疥癬に感染していて,同居猫全部に感染して大変なことになったことがあります.

感染している動物と親密に接触していると人もこのダニにかまれます.動物の疥癬は人には寄生はしませんが,かまれると赤い痒みのある湿疹ができます.病変部のフケを顕微鏡で見るとダニが見つかることで診断できますが,飼い主の方に「最近,腕やお腹の柔らかな所に赤い湿疹が出来ていませんか?」とお伺いすることで診断がつくこともあります.

今日のニャンコは,先週来院された時に疥癬に感染していることが分かって,飼い主の方にも注意を促していたのですが,時すでに遅く,来院された日の夜から,体中に赤い湿疹が出てきたそうです.

体を異常に痒がるニャンコをお家に入れるときは,要注意ですぞ.



●2002年07月04日(木)
★今日のワンコ★

今日のワンコはラッキーちゃんです.3ヶ月の男の子です.12歳の雌のミルクちゃんの所に先日やって来ましたが,ミルクちゃんから教育的指導を受けているようです.3ヶ月で体重が8kgもありますから,その内ミルクちゃんと立場が逆転するかもしれませんね.

●2002年07月03日(水)

★昨日のニャンコ★

さて,今日は昨日の続きです.月曜日と土曜日が週の中でも来院される方が多く,混雑する日ですが,今週は月曜日が雨だったせいか,火曜日が混雑しました.猫の避妊手術の予約が入っていたのですが,オシッコが詰まったニャンコが来院したので,そちらの処置を先にしました.

午前中の診療が伸びて,30分送れで少し焦りながらニャンコに麻酔をかけていると電話がかかってきて,看護婦が対応しています.「今から手術なので今すぐに連れて来られても・・.」と困っている様子です.麻酔をかけながら「どうしたぁ〜」と尋ねると「猫が7階から落っこちて血を吐いているそうですぅ」,「ななな,なにい〜」

すぐに連れて来てもらうと,落っこちたニャンコは,アゴを擦りむいてはいるものの結構元気です.ホッとしながらお話をお伺いすると,落っこちたのは「7階」ではなくて「7m」の間違いでした.口の中を調べると舌を少し傷つけていたので,そこから出血したのでしょう.レントゲンでも特に異常はなかったので,ニャンコは化膿止めの処置をして帰りました.

「猫の手も借りたい」様な1日でしたが,みんな無事でなによりでした.

●2002年07月02日(火)

★今日のニャンコ★

今日は雄猫の尿道結石の処置です.犬や猫の中には膀胱の中に結石ができ易い体質の子たちがいて,膀胱炎や尿道結石の原因になります.特に雄猫の場合,尿道に砂粒状の細かい石が詰まってオシッコが出なくなることがあります.オシッコが出なくなると猫はとても苦しみますし,それが続くと急性の尿毒症で死亡することもあります.

今日のニャンコも実は先月もオシッコが詰まって来院し,細い管を尿道から入れて通したのですが,今回はなかなか通らないので,麻酔下での処置になりました.尿道はすぐに開通しましたが,麻酔で眠っている隙(?)に膀胱の中を生理食塩水で何回も洗って,砂を取り除きました.

従来この病気は,猫の活動が低下して飲む水の量が少なくなってオシッコも少なくなる,秋口から冬にかけての病気ですが,ここのところ続けてこの病気で雄猫が来院しています.

室内飼育で肥満気味でドライフードを食べている雄猫に多い病気です.最近のニャンコはエアコンの効いたお部屋で,「食っちゃ寝,食っちゃ寝」しているんですかね?

●2002年07月01日(月)

★今日のワンコ★

今日は雄犬の会陰ヘルニアの手術です.会陰ヘルニアとは,直腸を保持しているお尻の横の筋肉が薄くなってくる,中高年の去勢していない雄犬に起こる病気です.この病気になると排便の時にキャンキャンと痛がったり,便が出にくくなるので苦しがったりします.

まだはっきりとは原因がわかっていませんが,一説によると,集団で生活している犬は力関係で強い犬から威嚇されると,尾をお腹の下に巻き込む動作をしますが,この動作がお尻の横の筋肉を発達させます.ところが,最近は犬同士の接触が少ないので,この様な行動もなく,筋肉が萎縮してきてヘルニアを起こすのだそうです.雌は出産に関わる筋肉が雄に比べると生まれつき発達しているので,少ないのだそうです.

でも,尻尾巻いて逃げる弱い雄に少ないということは,逆にいつも尻尾をピンと伸ばしている強い雄には多いのかな?強い雄がウンチの時に「痛い,痛い,キャインキャイン」と泣く姿もなんとなく可哀想ですね.




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