2002年01月
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●2002年01月31日(木)

★今日のワンコ★

「いつもの元気がないんですが・・」と2才の雄のレトリバーがやってきました.普通だったら跳ね回ってる年齢ですが,しょんぼりしてます.熱を測ると41.5℃,平熱は38℃位ですから発熱してます.全身をチェックしてみると,肩のあたりに少し血がついて,その部分から下のほうがかなり腫れてます.

血の付いてる付近の毛を刈ってみると数ミリの穴が開いてます.飼い主の方にお尋ねすると「そういえば,2〜3日前,夜近くの公園で放した時に他の犬からかまれた様でした.こいつよその犬に近づいて,よくかまれるんですわ」なんてのん気なこと言ってます.

かまれた傷は他の傷より化膿することが多いようです.多分口の中には,ばい菌が多いためでしょう.毛の深い犬種では傷に気付かないで,皮膚の下が大きく化膿して腫れてきて始めて気が付くこともあります.場合によっては,切開して膿を出したり皮膚が脱落して縫い合わさなければならないこともあります.

このワンコは化膿止めの処置をして様子を見ることにしました.交通事故の危険もありますし,散歩の時は犬を放さないようにしましょうね.

●2002年01月30日(水)

★今日のニャンコ★

右目が化膿した年齢不詳(多分15〜16才)のニャンコが来院しました.以前の病気が原因で随分前からこの目は見えてませんでしたが,今度はこの目が化膿してきました.多分,他の猫とのケンカで目を傷つけたのでしょう.真っ赤に腫れあがった目の中からドロドロと膿が出て痛々しい状態です.飼い主の方はお庭で多数の猫をお世話してる方で,このニャンコはその中の1頭です.目薬と化膿止めを処方してましたが,お世話するニャンコが多いのか,なかなか治療が進みません.元気だったニャンコもだんだん健康状態が悪くなってきたようで,うずくまって痛みに耐えてる様に見えます.飼い主の方と相談して,悪くなった目の摘出手術をすることにしました.

術前の血液検査では問題ありませんでしたが,血圧がかなり低く苦労しながら血管に点滴用の管を入れます.高齢で血圧も低いので負担の軽い麻酔薬を選択します.眼球の中の膿をこぼして周囲を汚染してはいけないので,細心の注意で眼球を摘出しました.心配した麻酔の悪影響もなく無事に目覚め,次の日には食欲も出て元気になりました.

私など少しの歯痛でもつらいのに,このニャンコも随分つらかっただろうなぁ,もう少し早く手術してあげればよかったなぁと反省しました.飼い主の方によると,このニャンコ10数年前からお庭に住み着いているそうです.これからも長生きして当院の長寿記録を塗り替えてね.


●2002年01月29日(火)

★今日のワンコ★

当院は,午後の手術が終わってから昼食をとるのですが,今日は手術が少し長引いて,「ああ腹減ったなぁ」と麻酔から覚めかかったニャンコのお世話をしてると,「あのぉ〜,今からいいですか?」と待合室から男性の声がします.「午後の診療は一応4時からで・・」と言いながら連れてるワンコの顔を見ると,目の下がスパッと切れてます.「明け方家の周りで犬がワンワン吼える声がしてましたが,今見てみるとうちの犬が怪我してました」と飼い主の方.このワンコ,明け方によそのワンコと戦って,目の下をかまれたようです.

日本犬の雑種ですが「キリリ」とした顔に頬の傷がなかなか似合ってます.「時代劇の悪役みたいだな」などと不謹慎なことを考えながら治療を始めました.手術台が開くのを待って麻酔をかけますが,いつもはスタッフに後ろから犬を抱くように持ってもらって,前足の血管に麻酔薬を入れるのですが,このワンコ後ろから近づくと「ウ〜」と威嚇します.「わしは後ろから近づかれるのは嫌いなんじゃ」.そこで,飼い主の方に頭だけ持ってもらって注射を打つことにしました.私と1対1の勝負です.「頼むからガブリとしないでくれよ」と心の中で念じながら無事に麻酔の注射を打つことができました.

2時間後,頬の傷を縫ってもらったワンコは麻酔も完全に覚めて,飼い主の方に連れられて肩を怒らせてヌシヌシと帰って行きました.もう,ケンカするなよ

●2002年01月28日(月)

★今日のニャンコ★

今日は猫の避妊手術です.外の猫ちゃん達をお世話してる方から,「これ以上増えるのは困るので子供ができないように,メスの避妊手術をして下さい」と連絡が入りました.お友達の方と一緒に10匹以上のニャンコのお世話をしてるそうです.通常手術は予約制ですが外のニャンコ達は何時捕まるか判りませんので,捕まえてカゴに入れたら連れて来ていただくことにしてました.

「せんせぇ〜,捕まりました!」餌でおびき寄せたのか,カゴの中にはイリコや鰹節,缶詰に囲まれて,「しまった!だまされた.隙があれば逃げてやるぞ!」と気合の入った猫が目を大きく見開いてこっちをにらんでます.このままでは麻酔の注射が打てませんから,当院のカゴに移し変えなければいけませんが,逃がしたら大変です.

当院のカゴの中に今入ってるカゴを入れて「ニャンコちゃん,怖がらなくていいよ,何にもしないからね.よしよし」と最上級の猫なで声をかけながらドアをそおっと開けます.様子をうかがってた猫がソロリと出てきたのを見計らって,今まで入ってたカゴを出します.状況を理解した猫がウギャーと暴れても,もう大丈夫です.これで一安心です.手術が終わったらカゴに戻して1日観察した後,いつもの縄張りに連れて行って放されます.ニャンコは一目散に逃げて行ってしまいますが,しばらくすると以前のように食事の時に現れるようです.

北九州獣医師会は「ノラ猫防止キャンペーン事業」で抽選で北九州市在住の方100名に限り,メス猫の避妊手術に1万円の補助金を出しています.今日のニャンコ達は,この補助金を使って手術しました.今,本人達は「こんなことして欲しくないわい」って顔でカゴの中でムスッとしてます.

●2002年01月26日(土)

★今日のワンコ★

「血尿が出るんですが..」と雌のワンコ,大人になって保護されたので推定年齢8才です.とてもおとなしい子で,飼い主の方も吼える声をほとんど聞いたことがないそうです.エコー検査で膀胱の中に何か妙な物が見えるのでレントゲンを撮ってみると,びっくり!

体重6kgの小柄なワンコのお腹の中に直径3〜4cmもある石が3個,膀胱の中は石でいっぱいでオシッコが溜まるスペースはほとんどありません.膀胱結石は比較的良く診る病気ですが,こんなに大きな石は初めてで,手術で取り出すことになりました.飼い主の方は「こんな大きな石,いつ食べたのだろう?」と驚いてますが,膀胱結石は石を食べたから出来るのではなく,体質的な要因と食事が関係してます.

手術はさきほど無事に終了し,ワンコは麻酔から覚めて,まだ鎮静剤が効いているので入院室でボーとしてます.膀胱の中からは真っ白できれいな石が3個摘出されました.ワンコは2〜3日の入院で退院できると思いますが,膀胱結石のおかげで今までは随分不快だったことでしょう.これからは,再び石ができないように食事に注意しなければいけませんね.


●2002年01月25日(金)

★今日のニャンコ★

初めての方が猫の避妊手術で来院されました.待合室に入ってこられて,前足を持ってぶら下げるようにしてニャンコを抱いてます.両手が塞がっているので,ドアを閉めることが出来ず,外とのドアは開いたままです.「籠がないのでそのまま連れてきました」.なんか,危なそうだなぁ.逃がさないといいけどなぁ.

不安は的中し,診療室のドアを開けようとスタッフが近づいた途端パニックになったニャンコが大暴れして,スルリと飼い主の手から滑り落ちました.ニャンコは捕まえようとするスタッフの手の間をかいくぐり,開いてたドアから一目散に外に逃げてしまいました.飼い主の方も大慌てで追いかけます.わぁー大変だぁ.

10数分後,「見つけましたが,車の下に逃げ込んで出てきません」と飼い主の方.食事でおびき出そうとネコ缶を持って行きましたが,ニャンコは車の下で目をギラギラさせて警戒心いっぱいで,出てきそうにありません.無理に引っ張り出そうとして,また逃げられると大変だし,すぐ横は幹線道路ですから,飛び出して事故にあわないとも限りません.万事休す.

ご主人が連れてみえましたが,このニャンコ,奥様に一番馴れているとのことで,奥様に来ていただくことにしました.ご自宅はかなり遠方で,1時間半後に奥さまがバスを乗り継いで到着されました.「○○ちゃん,お母さんが来たよ,もう怖くないから出てきなさい!」テレビのニュース番組で似たような場面を見たような気がしましたが,そんなこと考えてる場合じゃありません.ニャンコは車の下から地面に下りて様子を窺がってますが,私と目が合った途端に車の下から飛び出し,歩道をスタコラ逃げて行ってしまいました.あちゃ〜.

また逃げ出したらいけないので私は遠くから見てると,ニャンコは生垣の中に入ったようで,しばらく生垣の中に飼い主の方が頭突っ込んでましたが,数分後無事に飼い主の方に抱かれてニャンコは保護されました.脱走してから約3時間の逃亡劇でした.

その後,無事に手術を終え,ニャンコは入院室で神妙にしてます.「豹変」と言いますが,おとなしい猫もパニックになると別人(別猫)の様になります.ご注意下さい.よかった,よかった.

●2002年01月24日(木)

★今日のニャンコ★

カイセンというダニが原因の皮膚病になってたので,お家に入れてもらえなかったニャンコ,治療を始めて2週間が過ぎて痒みもなくなって皮膚も随分良くなってきました.「雪も降ってきたし,そろそろお家に入れてあげたいんですけどォ」と飼い主の方は,私の方を訴えるような目で見ます.診察台の上では,ニャンコも同じような目で私を見てます.

このお宅,お家の中にもすでに猫がいて,外で食事だけ与えてる子をおうちに入れるので健康診断にいらしてその子にカイセンが見つかり,他の子に移ってはいけないので家に入れるのを見合わせていただいてました.

皮膚を何箇所か検査しますがダニは見えません.病変が広がる前に治療を始めたので回復も早かったようです.このニャンコ,今晩は部屋に入れてもらって,暖かい夜を過ごしてることでしょう.おうちの中のニャンコ達とうまくやってるかな?

●2002年01月23日(水)

★今日のワンコ★

10歳の雄のヨークシャーテリア,お尻のまわりに腫瘍ができたので手術で切除することになりました.これは「肛門周囲腺腫」という雄犬特有の腫瘍です.ホルモンが影響してると言われてますが,そのままにしておくと,どんどん大きくなるので,早めに切除することにしました.歯石も付いているようですが,このワンコとても怖がりさんで,口を開けようとすると大暴れします.そこで,「手術で麻酔をかけたついでに,歯石もいっしょに取りましょう」とワンコをお預かりしました.

3個あった腫瘤を切除して,「さて次は歯石だな」と口を大きく開けてみて「ギョッ!」これほどの歯石はめったに見れません.ほとんどすべての歯に茶色の鎧を着たように,ガッチリと歯石が付いてます.歯石で奥の歯など3倍位の大きさになってます.

超音波スケラーという歯石をを取る機械のパワーを最大にして,がっちりこびりついた歯石を削り取ります.掘り進んで行くと歯石の奥から 白い歯が出てきますが,歯槽膿漏で歯茎が下がってるので歯石がなくなると歯がグラグラです.グラグラの歯は抜歯しますが,この子は全部で十数本の歯を抜くことになりました.

飼い主の方も今までほとんどこの子の口にはさわれなかったそうで,とても口の中が不快だったことでしょう.すっきりとした口の中を見ると,私までさわやかになった気分でした.よかった,よかった.




●2002年01月22日(火)

★今日のワンコ★

8才のパグ犬,「最近,後ろ足を痛がってるようです」と来院しました.診察室で歩き方を観察します.ワンコは私から逃げようとするので,私がワンコを追いかける→ワンコは飼い主の方に逃げる→飼い主は私の方に逃げる.と診察室の中を2人と1匹で輪になってグルグル回りながら,歩き方を観察します.やってて自然と笑いが出るので,待合室から見ると遊んでるようにしか見えません.

ワンコはひどく痛がる様子はありませんが,後ろ足から腰にかけて不安定な感じで,後ろ足にあまり力が入ってないようです.そこでレントゲンを撮って見ると・・.

股の関節が浅く,太ももの骨が上手く関節に入ってないようです(股関節形成不全).生まれつきの病気ですが,長年の酷使によって関節が少し変形してきて痛みが出たようです.このワンコはおとなしい子ですが,最近このお宅に,若いやんちゃワンコがやってきて,このワンコを追っかけまわしてるそうで,痛みがでたのはそれも原因の一つかもしれません.鎮痛薬の投与と運動の制限,肥満防止をお願いしました.

このワンコ,「若いもんにつきあうのは大変だなぁ」って思いながら,やんちゃワンコと遊んでたのかもしれませんね.高校生の息子とテニスした次の日に筋肉痛で「イテテテッ」て言ってる自分を見るようです.

●2002年01月21日(月)

★今日のニャンコ★

1月15日の「今日の診察室」でご紹介した13歳の箱入り猫が,再びやって来ました.「退院した後は調子が良くて食欲ももどってたんですが,3日前からまた食べなくなって,涎がダラダラ出てます」.もしやと思って口の中を見ると舌先に潰瘍が出来てます.「うわぁ〜,今度はカリシウイルス感染症だ」

先日の病気が「猫伝染性鼻気管炎」今度が「カリシウイルス感染症」どちらも代表的な猫の伝染病です.これらの病気は同時に発病することもありますが,この子は続けて発病したみたいです.口内炎がよくなると食べられるようになりますが,それまで体力をもたさなければいけません.点滴とインターフェロンの治療が始まりました.今回も前回同様に,早く回復して食事が食べられるようになるといいのですが・・.

猫の伝染病にはもうひとつ「猫伝染性腸炎」という死亡率の高い病気があります.これに感染すると大変ですから,今日のニャンコは回復したらワクチンを打って退院することになるでしょう.

●2002年01月19日(土)

★今日のワンコ★

今日のワンコは巨大犬(ニューファンドランド犬),まだ1歳なのに体重55kgです.お腹の横に3cm位のオデキが出来たので手術で取ることになりました.処置は簡単ですが,犬がでかい!当院の2階の入院室までは,飼い主の方が連れて上がってゲージに入れてくれましたが,手術前に鎮静剤を打つためにゲージを少し開けると,外に出ようと頭でグイグイ押してきます.性格は温厚ですが,小熊くらいの犬がグイグイ押してくるので,こっちも負けずに看護婦と二人がかりでグイグイ押し返して鎮静剤の注射を打ちました.

しかし,注射で完全に寝てしまうと今度は2階から手術室に下ろすのが大変です.自分で歩けるけどおとなしくなる量の鎮静剤を調整します.これはうまくいって,30分後看護婦に引かれて,自分でヨッコラヨッコラと手術室に下りてきたので,3人がかりで「エイッ」と手術台の上に持ち上げて,麻酔を入れました.

30分ほどで手術は終わって麻酔を切ります.普通は少し意識が戻った時点で抱いて入院室に入れますが,この子は大きすぎてとても無理です.そこで,麻酔がある程度覚めたら手術台から下ろして,自分で歩けるようになったら,飼い主の方にお迎えに来ていただくことにしました.ところがこの子人懐っこいのか寂しいのか,まだ完全に覚めてないのに,ズリズリと這って寄ってきます.手術の後片付けしてる私の横にズリズリ,看護婦の横にズリズリ,尻尾振ってます.

丁度昼食時間でしたが,皆で交代でこの子の側について,1時間後に歩けるようになったので,飼い主の方に迎えに来ていただき,車に乗ってお家に帰りました.大きかったけどかわいいワンコでした.

●2002年01月18日(金)

★今日のワンコ★

8歳のシーズー犬が皮膚病の治療で来院して来ます.この子,数年前に街を放浪してるとこを,今の飼い主の方に保護されました.保護された時は足に怪我してひどく怯えてました.治療しようと体に少し触れただけで「ギャンギャン」と泣き叫びます.足の怪我は回復してるのに,いつまでも足を引きずってます.良く診ようと少し触るとまた「ギャンギャン..」

その後しばらく来院されませんでしたが,近くの公園で飼い主の方と散歩してる姿をよく見かけました.飼い主の後ろをトコトコ歩いてましたので,「足はよくなったんだな」と見てました.

次に来院された時,あの怯えきってた目は,飼い主の方を信頼しきった目に変わってました.表情もとても穏やかになり,治療にも協力的です.今はアトピー性皮膚炎を治療してますが,飼い主の方に定期的に連れてきてもらって少しずつよくなってます.良い人に保護されて良かったね.

●2002年01月17日(木)

★今日のワンコ★

12歳のマルチーズ,「昨日後ろ足を痛がってた」と来院しました.今は診察室を走り回ってますから,痛くないようです.診察していくと,どうも右膝のお皿(膝蓋骨)が内側にずれる「膝蓋骨内方脱臼」という病気のようです.お皿が膝の関節を出たり入ったりするので,時々痛みが出ることがあります.痛みがひどいときは手術することもありますが,この子はそれほどひどくないので,お薬で様子をみることにしました.

「少し肥満気味なので健康診断もしてください」と飼い主の方が希望されたので,詳しい検査をすると,腎臓や心臓の機能も悪くなってることが判りました.食事の内容が偏食気味なので,食事管理とダイエットが,この子のこれからの課題です.体重を少し落とせると膝の負担も軽くなるので,足の痛みも引くと思います.

今までが美食家のワンちゃんです.飼い主の方といっしょにダイエットに頑張って下さいね.

●2002年01月16日(水)

★今日のワンコ★

8ヶ月のメスの小柄なポメラニアン,「歯が変な風に生えてるんですが・・.」と来院されました.お口を開けてみると,あーら,この子乳歯が抜けないで残ってます.乳歯の中でも犬歯が抜けずに残ってる子はけっこう見ますが,この子の乳歯はほとんど残ってて,前のほうは2列に生えてます.そのままにしておくと,歯の間に歯石が溜まったり,永久歯の発育に悪影響があったらいけないので,抜歯することにしました.

この程度の処置でも動物の場合は,全身麻酔になります.処置が終わったらすぐに覚めるように,短時間型の麻酔薬を使います.前の方の歯はほとんど根っこがないので,すぐにポロポロと抜けますが,犬歯はがっちり入ってるので,抜くのに少し根気が必要です.「人の歯医者さんはすごいよな,あんなに大きな歯をグイッて抜くからなぁ」なんて考えながらチビポメのかわいい歯を抜きました.

麻酔ガスをゼロにするとすぐに目覚めてきたので,気管に入れた管を抜いて化膿止めの処置をして,夕方に飼い主の方がお迎えに見えて,帰って行きました.口の中がすっきりとなって,飼い主の方は喜んでましたが,ワンコはあまり楽しくはなかったでしょうね.


●2002年01月15日(火)

★今日のニャンコ★

13歳のメスのニャンコ,お鼻グシュグシュ,よだれがダラダラ,目もショボショボで結膜炎を起こしてます.食欲もなく脱水状態です.典型的な猫伝染性鼻気管炎ですが,普通は13歳のネコはある程度免疫を持ってますから,ここまでひどくなることは稀です.

飼い主の方にお話を聞くと,13年間一歩もアパートの部屋から外に出たことがないネコだったそうで,道路の拡張でアパートが取り壊されることになり,前の飼い主の方が飼えなくなったので,引き取ったそうです.

新しい飼い主のお宅には,すでに数匹のネコがいて,その中の一匹が風邪ぎみだったそうです.今まで13年間「箱入り猫」だったのに,いきなり外の世界に飛び込んだので,大風邪をひいてしまったのしょう.

ニャンコは脱水状態だったので入院治療になりました.高齢でしたから心配でしたが,点滴と抗生物質の投与,点眼薬の使用で3日目に退院しました.老ニャンコに風邪をうつした若ニャンコも治療に訪れましたが,グシュングシュンと鼻水を飛ばしながらも,食欲もりもりで元気に飛び回ってました.若者は強いですね.

●2002年01月12日(土)

★今日のワンコ★

15歳のメスのワンコの乳腺腫瘍の手術をすることになりました.手術当日は食事もお水も与えずに来ていただきます.手術の説明と終了予想時間を告げて,飼い主の方にはおうちで待ってもらうことにしました.飼い主の方は「○○ちゃん,頑張ってね.また迎えに来るからね」とワンコに言って心配そうに帰っていかれました.手術のプレッシャーを感じる時です.

血管に点滴用の管を入れて,ワンコの様子を注意深く観察しながら,注射の麻酔薬をゆっくり入れます.ワンコの反応がなくなったのを確認して,気管に管を入れて酸素と麻酔ガスを流します.手術はガス麻酔で行います.心電図や呼吸ガスモニターなどの機器を取り付け,ワンコの体の状態を監視します.異常があればすぐに対応できるように,各種の薬剤を準備します.麻酔事故がおきるのは麻酔のかけ始めが一番多いので,ここまで来れば少しホッとします.ワンコの状態も安定してるので,麻酔は担当にまかせて,いよいよ執刀です.

2時間後,腫瘍を取り除き,無事にワンコも目覚めました.高齢なワンコでしたが,肥満などの成人病がなかったので,トラブルもなくスムーズに手術が出来たと思います.麻酔で眠ってる間に歯石を取って悪い歯の抜歯もしました.手術後の経過も良かったので,翌日,ワンコは飼い主の方といっしょにお家に帰りました.

●2002年01月11日(金)

★今日のワンコ★

15歳のメスのマルチーズ,「随分前からおっぱいにしこりがあったんですが,最近大きくなってきて困ってます」と来院されました.おっぱいから巨峰大のコブが二つぶら下がって,一つは表面が破れてジュクジュクしてます.治療は手術しかありませんが,この子心臓が悪く,聴診器で心臓から雑音が聞こえます.手術は全身麻酔で行いますが,全身麻酔とは極端に言うと「薬の力で体を痛みも意識もない死の直前の状態まで持って行く」ことで,健康で若い子はほとんど心配ありませんが,高齢な子は注意が必要です.

手術に先立ち血液検査で,肝機能,腎機能,貧血の有無,糖尿病などのチェックを行います.血液検査では特に大きな異常はありません.胸のレントゲンで心臓肥大が見られます(年をとってポンプの力が弱くなっても心臓は頑張って全身に血液を送り続けますから,だんだん心臓が大きくなってきます)が,肺などに腫瘍の転移はありません.

飼い主の方と,手術をしなかった場合と手術をした場合のリスクについて話し合った結果,手術で腫瘍を取り除くことになりました.高齢犬の手術の予約が入ると,手術前日は緊張のせいか少し寝不足になります.
10数時間に及ぶ大手術を執刀する外科医が超人に思えます.手術の様子は次回の日記でお知らせします.

●2002年01月10日(木)

★今日のニャンコ★

「外で食事を与えてたのですが,寒くなったのでお家に入れようと思います.うちの中にも猫がいるので,健康診断してください」とニャンコが飼い主に連れられてやってきました.今までも外でかわいがられていたのでしょう,人懐っこい黒ニャンコです.

栄養状態は問題なし,風邪もひいてないようだし大丈夫かなって思いながら,ふと耳の縁を見ると,少しガサガサして毛が抜けてます.「猫は体を痒がってませんか?」と尋ねると,時々ポリポリ掻いているそうです.耳の縁のふけを落として顕微鏡で見ると・・・・.カイセンがいました.

カイセンは皮膚の中にトンネル作って生活する小さなダニです.ひどくなると,頭から肩にかけて毛が抜け落ちてしまい,治療できない野生動物などは,死亡することもあります.ふけと一緒にダニも落ちて,次の猫を待ってますので,この病気の猫と接触するとすぐにうつります.人もこのダニにかまれて,皮膚炎を起こすことがあります.よく効くお薬はありますが,治るまで約1ヶ月位かかります.

せっかくお家にいれてもらえることになった黒ニャンコは,治るまでは再び野外生活になりました.頑張れ!


●2002年01月09日(水)

★今日のニャンコ★

8歳の雄のニャンコ,頭には歴戦の傷跡がガリガリと付き,眼光鋭く路地裏のボスの風体です.いつもは良く食べるのに,エサの前までは行ってにおいは嗅ぐのだが,食べようとせずに,少し口に含むと「ギャ〜」と叫んでいるそうです.診察台の上で楽しくなさそうに目を細めて「ムスッ」てしてます.

この手のニャンコは度胸が座ってるのか,診察に手を焼くことは少ないのですが,「すみませんねぇ,気にくわないでしょうが,お口の中を少し拝見したいので,口を開けますがプッツンしないでね」と心の中でお願いしながら,口を「エィ!」とこじ開けると「ギャア〜ァァァ」とニャンコ.

口の奥の喉に近いところに口内炎ができて,まっかっかでした.猫の口内炎はウイルス感染によって起こり,1週間位で治るものと,難治性のものがあります.難治性のものでは,猫エイズの感染が関係してる場合もあります.

このニャンコは炎症をとる注射を打って帰りました.食事はすぐに食べられるようになるけど,しばらくするとまた痛くなるだろうなぁ.

●2002年01月08日(火)

★今日のワンコ★

今日はアトピー体質のワンコです.あっちをポリポリ,こっちをポリポリととても痒そうです.耳の内側や目の周り,お腹などが特に痒いらしく,皮膚が厚く黒くなってます.
犬のアトピーは一種のアレルギー疾患で,1.食事の内容,2.家の中のダニや塵,3.花粉などの刺激,が原因になりますが,原因を特定するのが難しく,獣医師泣かせの病気です.とても痒がるので見ている方もつらくなります.

お薬を飲ませるとかなり痒みを抑えることができますが,副作用の心配があるのであまり長くは使えません.そのため,低アレルギー食,各種サプリメント,シャンプーなどを併用しながら,根気よく治療していきますので,飼い主の方の協力も大切です.

今日のワンコは,痒み止めのお薬とサプリメントをもらって帰りました.治療がうまくいくと痒みも止まって,皮膚も見違えるようにきれいになります.この子もそうなると良いんですが・・・.

●2002年01月07日(月)

★今日のワンコ★

14歳の雄のお年寄りワンコ,「何やら頭が腫れている」とのことで来院しました.大きな腫れはありませんが,頭の毛の一部がゴアゴアしてるのでよく調べてみると,あ〜ら,皮膚に穴が開いてます.どうも同居犬からかまれたようです.いつもいっしょにいる犬から,かまれる事は珍しいので,飼い主の方からお話を聞くと..

このワンコが食事を食べてるのだが,年をとってるので口からポロリと食べ物が落ちた→この落ちた食べ物を若いワンコが取ろうとしたので,年寄りワンコが怒った→年寄りワンコが若いワンコの逆襲にあった.
ということの様でした.

このお宅のワンコ社会にも,世代交代の時期がきてるのかもしれませんね.ワンコは傷口を消毒して化膿止めの処置をして帰りましたが,10年以上君臨したボスの座が危うくなったワンコの目が,心なしか寂しそうでした.

●2002年01月05日(土)

★今日のニャンコ★

最近,風邪で来院するニャンコが増えてます.今日のニャンコもお鼻グシュグシュで「ハックショ〜ン」とさかんに鼻水飛ばしてます.目もウルウルで結膜炎を起こしてます.食事も鼻が利かないせいか,あまり食べれません.猫伝染性鼻気管炎というウイルス性の感染病で,いわゆる「猫風邪」です.クシュン,クシュンが1週間程度続いて回復することもありますが,体力がない子猫などは,肺炎を併発して死亡することがあります.

今日のニャンコは,点滴をして,肺炎を起こさないように抗生物質の注射を打って帰りました.食欲もないので,食べやすい栄養食ももらって帰りました.外が好きな子ですが,良くなるまで「外出禁止」です.今ごろは,暖かい部屋で,飼い主の方から栄養食を食べさせてもらってる事でしょう.

この病気はワクチンで予防できますし,仮に感染しても軽い症状ですむようです.




●2002年01月04日(金)

★今日のワンコ★

数年前に4匹出産した当院のシーズー犬のポップに,子犬の里親になっていただいた方から,「子供が昨年生まれたよ!」という,うれしいお便りが届きました.これで晴れて(?)モップに初孫の誕生です.

約1ヶ月間,一生懸命子育てしてたモップの姿が思い出されます.最初の1週間は付きっきりで授乳と排便のお世話,子犬が「キュン,キュン」て泣くと,一目散に子犬の側に駆け戻ってました.それからだんだん子犬の側にいる時間が短くなり,離乳が始まると,いつまでもおっぱいを欲しがる子犬を「ワン!」と一喝してました.

いつまでも親離れ,子離れが出来ない我々の生活を省みて,教えられることもありました.モップの初孫に会えるのを楽しみにしてます.

●2002年01月02日(水)

★今日のワンコ★

お預かりしてたワンコ達が帰って行きます.当院ではつまらなそうにしてたのに,飼い主の方を見るとほんとにうれしそうです.外は今年一番の寒さですが,お迎えにみえた飼い主の方とワンコの笑顔をみるとポカポカしてきます.
今年一年が,皆様にとって良い一年であることを願ってます.


●2002年01月01日(火)

★謹賀新年★

皆様,明けましておめでとうございます.今年も,皆様と動物達が健康で幸せな1年を過ごせることを願ってます.当院の入院室で年を越したワンコ&ニャンコ達も,先ほど朝のお世話が終わって,静かなお正月を迎えてます.お正月明けに飼い主の方がお迎えに来るのを,楽しみにしてることでしょう.

今から,毎年恒例の我が家のワンコ達を引き連れての初詣です.境内でどなたかとお会いするかもしれませんね.今年もよろしくお願いします.


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