2001年12月
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●2001年12月29日(土)

★今日のワンコ★

「うちの犬は神経質なんですよ〜」と11才のオス犬を,ご夫婦が連れてきました.「お尻の横がふくれている」そうです.ワンコを診察台の上に乗せて,ご主人に抱いてもらいます.ワンコは落ち着いてます.ふくれた部分を触ってるとワンコが「グワゥ」と唸って振り返りました.その途端に横で見ていた奥様が「ギャー,○○ちゃん,ダメーッ」.その声を聞いてワンコも「ギャウギャウ,ウ〜」

まず奥様をなだめて,ワンコが少しくらい「グワゥ」て唸っても,落ち着いてもらうことにしました.そうすると,ワンコも落ち着いて,ゆっくり診察できました.動物には第六感(私はこれをシックスセンスと言ってますが・・)があるようで,動物に接する人がビクビクすると落ち着かなくなり,心の中で「大丈夫だよ,レッツ,リラックス!」て唱えながら接すると,ゆったりしてくるようです.

ワンコは会陰ヘルニアの様でした.去勢してない雄犬が年をとってくると,お尻の筋肉が薄くなって,おなかの脂肪や直腸が出てくる病気です.症状が進むと排便が困難になったりしますから,早めの手術をお勧めしました.

●2001年12月28日(金)

★今日のワンコ★

10歳のシーズー,「最近,夜の散歩の時,以前ほどズンズン歩かなくなったんですが..」と来院しました.健康状態は良好です.全身を詳しく調べてみると,白内障になってるようです.白内障の原因は大きく分けて,1,年齢による生理的なもの.2,糖尿病など他の病気が原因になるもの.3,原因不明の突発的なもの.の3つがあります.検査の結果,この子は,加齢による白内障と診断しました.

ワンコ年齢の1年は,人に換算すると4〜5年に相当します.というと,2〜3ヶ月が,私達の1年です.いつまでもあどけないので,子供とばっかり思っていますが,知らないうちに我々の年齢を追い越して行くんですね.少し寂しいけど,健康管理には気をつけてあげましょう.

今日のワンコは,検査の結果,成人病の心配はなかったので,白内障の進行を抑える目薬を使うことになり,安心した飼い主と,うれしそうに帰って行きました.


●2001年12月27日(木)

★今日のニャンコ★

6歳の雄のニャンコが点滴に来院しました.この子は週に2回点滴してます.2ヶ月前,「最近食欲がなく嘔吐することが多い」ということで連れて来られました.以前5kgあった体重が3.5kgまで減ってます.「ムッ,これはおかしいぞ」.血液検査をするとBUN(腎臓の機能をチェックする数値です)が140まで(通常は20以下です)上がってます.腎不全です.お話を聞くと,1ヶ月位前からお水をたくさん飲んでたそうで,慢性的な腎機能の低下から腎不全を起こしたことが考えられます.

人では腎不全の場合,透析治療をしますが,動物ではまだ一般的ではありません.点滴治療が主になります.幸いニャンコは4日間の入院と点滴で食欲が出てきたので,在宅治療になりました.慢性的に腎臓が悪くなった時,腎機能は元にもどることはありませんが,内服薬と点滴で病気の進行を遅らせることはできます.

このニャンコ,週に2回の点滴と食事療法&投薬で元気に生活してます.飼い主の方が猫の異常に早めに気づかれたのが良かったと思います
8歳以上の猫が,お水を飲む量が急に増えて,おしっこをたくさんするようになったら,腎臓の機能が衰えてるかもしれません.ご注意下さい.

●2001年12月26日(水)

★今日のニャンコ★

昨日,生後4〜5ヶ月の子猫が来院しました.飼い主は「2日前までは元気だったのに,昨日から食欲がなく,吐いてばかりです」と心配そうです.
子猫は,まるまると太って栄養状態は良好ですが,ぐったりしてます.体温も下がり(診療してると,熱があるほうが安心です.低体温は死が身近です)普通ではありません.

血液検査をすると,白血球が激減してます.間違いなく猫伝染性腸炎(パルボウイルス感染症)です.この病気は,嘔吐と下痢がひどく,猫は急激に脱水状態になり,死亡率の高い猫の伝染病です.治療は入院して点滴治療になります.点滴用の管を血管に入れますが,血圧が低下してます.苦労しながら管を血管に入れて,点滴開始です.点滴にはインターフェロン,抗生物質,ビタミン剤などを混ぜます.「頑張れっ!」

残念ながら,子猫は夜半過ぎに息をひきとりました.飼い主の方は,まだ目も開いてない時からこの子をミルクで育てたそうで,きっと母親と早く別れ別れになって,母乳をあまり飲んでなかったので,子猫に免疫がなかったのでしょう.今朝早く,飼い主の方が冷たくなった子猫をお迎えにみえました.

生後2〜3ヶ月目にワクチンを接種してれば,感染を阻止できたかもしれません.「良くなってよかったねぇ」って,退院させたかった子猫でした.






●2001年12月25日(火)

★今日のワンコ★

12歳の雄のマルチーズ,「2日前から口の様子がおかしい」とのことで来院しました.元気,食欲は大丈夫ですが,さかんに口を気にしています.診察台の上でも何やら口をペチャペチャしてます.上顎の裏に引っかかったノリを舌で剥がす様な変な行動です.お客さんが来ても「ワンワン」と勢い良く出て行くのですが,帰りは口を壁に擦りつけながら,ヨロヨロもどってくるそうです.

う〜ん,これはなんじゃい?年齢から,色んな病気が頭を過ぎります.喉や口の腫瘍,あるいは異物,魚の骨が引っかかったの?「そんなものやってない」と飼い主..とりあえず口の中を調べます.ところがこのじい様ワンコ(失礼)やけに元気で,口を開けようとすると,ガプッと噛み付きます.そこを職人芸でヒラリヒラリとかわしつつ奥まで診ますが,歯石がついて歯肉炎をおこしてる以外,特に異常はないみたいです.前の方の歯はかなり抜け落ちてます.その中で1本の大きな前歯がグラグラしてます.もしやと思って,「エイッ」て(とは言ってもグラグラですからポロッととれましたが)抜いてみると,2〜3分ペチャペチャしてましたが,その後すっかり良くなりました.どうも,抜けかかった歯が気になって,2日間苦しんでたようです.

じい様ワンコは,飼い主の肩に抱かれて,歯のない口でニッヒッヒッて笑って(私にはそう見えた)帰って行きました.

(院長より一言)
ワンコはあまり美食にしないで,ドライタイプのドッグフードをガリガリ食べさせて,丈夫で元気が歯を作りましょうね.

●2001年12月22日(土)

★松と竹★

トミシタ動物病院に2年前からお世話になってるメス猫の松と竹です.子猫の時は「かわいい,かわいい」と言ってくれてた院長が,最近は「肥満は健康の敵.粗食に耐えてれば病気にはならん!」などと言って,強制的にダイエットさせられてます.朝は6時から屋上で「めし〜,ギャオギャオ〜」とわめき散らしていたら,最近,病気でもないのに,夜は入院室に入れられてます.入院してる病気療養中の同属と比べると健康に過ごせてますから,幸せかもしれませんが,1年前に手術されて「女」を捨てて以来,食べることしか楽しみがありません.これからもずっとこんな生活が続くと思うと,悲しくなります.

(院長より反論)
猫の泌尿器症候群という病気があります.食事中のマグネシウムの量が多いと,膀胱のなかに砂がたまって膀胱炎をおこしたり,オス猫ではおしっこが出なくなって猫がぐったりしてしまいます.この病気になるのは,室内で飼われてる肥満傾向の子が多いようです.
松と竹よ,愛の鞭じゃ,耐えてくれ・・.

●2001年12月21日(金)

★今日のワンコ★

1歳の雄のワンコ,体重が5kg位かな,飼い主の方に抱かれて,毛布にくるまってブルブル震えてます.「元気がなくてじっとしてるんですが...」と心配そうです.元気盛りのはずなのにどうしたのかな?って診察を進めて行きます.この子は飼い主の方のとこで生まれたそうで,兄弟の中では,一番弱く食も細いそうです.血液検査をすると,少し血糖値が下がってます.体温も37.5℃と低め(通常は38.0〜39.0℃)です.

初めての冬なので,寒かったのかもしれません.糖分を補給して,今日はおうちの中に入れてもらうことにしました.今ごろはストーブの前でヌクヌクとしてることでしょう.元気になるといいな.

●2001年12月20日(木)

★昨日のワンコ★

さて,昨日の続きです.お年寄りの柴犬のお腹にべったり引っ付いた「エイリアン」を他の先生に診てもらうことにしました.この先生,軟部外科が得意で,時々助けてもらってます.飼い主といっしょにワンコを当院から約20kmほど離れた病院に連れて行って診てもらったところ,「う〜ん,切除できるかも..」といううれしいお言葉,早速,手術の予約を入れました.

手術当日,私が到着すると,ワンコはすでに鎮静剤を打たれてウトウトしてます.いよいよ手術開始です.実は執刀する先生は,仲間内から密かに「God Hand]と呼ばれる腕の良い外科医です.「神の手」が繊細に大胆に腫瘍を取り除いていきます.3時間後達磨さんのような形をした「エイリアン」はきれいに取り除かれました.「ヤッタ〜!」

3日後,ワンコは飼い主に抱かれて,うれしそうに退院して行きました.めでたし,めでたし.



●2001年12月19日(水)

★今日のワンコ★

お年寄りの雄の柴犬,今年の8月ごろお腹にピンポン玉位のコブが出来,大きくなるようだったら早めに来院するように言ってたところ,先月末に「大きくなりましたぁ〜」ってやってきました.診て見て「ギョッ」思わず卒倒しそうになりました.ピンポン玉はソフトボールになり,お腹にべったり引っ付いてます.お話によると,日に日に成長してるそうです.思わず,映画「エイリアン」を思い出しました.とりあえず,注射針を刺して検査材料を採集し,検査機関に送ったところ,「腫瘍性,悪性」の回答です.「う〜ん,どうしょう..」

完治させるには,手術しかありませんが,メスを入れると大出血して,今は元気なワンコの命を縮めることになるかもしれません.そのままにして置くと,1ヶ月以内には皮膚が破れて悲惨な状態になるでしょう.
「ピンポン玉の時に切除してれば..」と悔やまれますが,後の祭りです.

さて,どうしたでしょう.続きは次回お知らせします.ご期待ください.

●2001年12月18日(火)

★種を超えた恋★

愛犬モップ(シーズー,雌,9歳)の運動不足解消に夜の散歩を始めて約1ヶ月,いつからか雄の子猫がついて来るようになりました.推定年齢4〜5ヶ月かな.始めはトコトコついてくるだけでしたが,最近はモップにすりすり,べたべたすり寄ってきます.モップの姿を見つけると,すっとんでやってきて,路地から路地まで約300m位ついてくると,名残惜しそうに「ニャァー」って鳴いて見送ってくれます.

当のモップは迷惑そうで,トイレもおちおち出来ないみたいです.高速道路のインターが近いので,「事故に遭うなよ」って願いながら,父親として,娘の種を超えた恋を暖かく見守ってます.猫の片思いかな.

●2001年12月17日(月)

★今日のニャンコ★

今日は月曜日,午後に大きな病院に依頼した合同手術があったので,午前中にネコの避妊手術を1件,手術中に「センセ,尻尾切って」とヨーキーを連れた方が...犬の種類によって(ヨークシャーテリア,ドーベルマン,コーギー,etc...)断尾する種類がありますが,無麻酔で切るので,手術は生後10日以内です.ところが,この方はいつも20日目位の大きくなった子犬を連れてきます.「ハヨ,連れて来んかい!」と説教しながら,心を鬼にして「ゴメンヨ,バスッ」と切ります.

さて,午後の手術が終わって,午後の診療30分遅れで病院に戻ると,待合室や診療室に待たされて「ふくれっつら」の患者さんが,いらっしゃいます.「遅れて,すみません」と誤りながらドタバタ診療してると,「今,車に轢かれたっ」とネコを連れた男性の方が..忙しい私に代わって,AHT(アニマル ヘルス テクニシャン,動物病院の看護婦さんです)が応対してます.診療しながら,横の診察室でのやり取りを聞いてると,AHTが慌ててる様子はありません.

速攻で診察室に駆けつけると,口元から血を流した13歳のじいさんネコが,頭を後ろ足でポリポリ掻きながらニタ〜と笑ってます(私にはそう見えた).話によると,「バーンって車とぶつかって,バタバタ痙攣したので,もうだめか」と思ったそうです.レントゲンでも特に異常はなかったので,切れた口元を縫って「頭部打撲による脳震盪,全治1週間」と診断しました.

大事にならなくて不幸中の幸いだったのですが,本当に,じいさんネコがばつが悪そうな顔してました.

●2001年12月15日(土)

★今日のワンコ★
今日は土曜日,いつもより多くの方が来院されました.
3歳のオスのドーベル君,3ヶ月前に来院されたときと比べると,妙に痩せてます.3ヶ月前が30kg,今日が20kg.激やせです.その割には,食欲,元気はバリバリです.頭の中を病気の名前が過ぎります.糖尿病,膵臓の病気...

ワクチンで来院されてますが,急遽変更して精密検査になりました.で,結果は異常なし.健康そのものです.お話を聞くと,夏にお腹の調子が悪かったので,食事を制限してきたそうです.今は,食事を与えるとガツガツ食べて,あまりに勢い良く食べて,ケポッと出すこともあるそうです.それをまた食べるそうですが..

とりあえず25%食事を増量してもらって,1ヵ月後に再検査することにしました.犬の拒食症なんて聞いたことないし,ひょっとしたら,究極のダイエットだったりして..
1ヵ月後に結果を報告します.

寒い中,外のベンチで長く待っていただいた皆様,風邪引いてませんか?


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